講座・イベント

2018/10/13<報告> 10/13現代教養講座

2018年10月13日(土)午後1時から4時まで、72年館で、佐藤宏子名誉教授による

現代教養講座「アメリカ文化とオペラ――メトロポリタン歌劇場の歴史を中心に――」が開かれました。70余名が参加、3時間が短いほどでした。

 総合芸術としてのオペラの歴史からお話しが始まった。

現在のアメリカ文化は多様化、多文化主義と言われているが、18世紀、19世紀のヨーロッパ社会でのオペラの重要性がアメリカに引き継がれている。ヨーロッパでは19世紀はベートーヴェン、シューベルト、ブラームスなどの器楽曲が主流とされていたが、オペラは共同体としての社会の核を作るという点で重要な意味を持っていた。ヨーロッパからの移住者がそのようなオペラの社会的意義をアメリカに持ち込んだといえる。特に、ニューヨークという都会が成熟し、発展していく19世紀後半、オペラの社会的役割が大きくなり、アメリカでのオペラハウスの必要性が高まっていった。

メトロポリタン歌劇場(以後METと称す)の成立

1854年10月に初のオペラ劇場としてAcademy of Musicが開場。 

1883年10月メトロポリタン歌劇場、開場。

1966年リンカーンセンターの新劇場へ移転、現在の建物に移る。

METはどのように運営されているか?その組織と特色は?

初期は劇場の建物を所有するメトロポリタン歌劇・不動産会社と、興行を取り仕切るメトロポリタン歌劇場会社の二つの組織で運営された。

20世紀に入って組織の改革が行われ、メトロポリタン歌劇場会社が総支配人を雇用し、歌劇場の方針に従って演目、出演者を決めるようになる。

1932年メトロポリタン歌劇場会社はメトロポリタン歌劇協会と改名。非営利団体となる。1942年メトロポリタン歌劇協会が、劇場をメトロポリタン歌劇・不動産会社から買い取る。

現在、年間予算は約3億ドル、30%は入場料収入、寄付が50%、残りはMET ライブ・ビューイングなどの興行収入である。寄付のうち、大口寄付は10?20%、あとは小口寄付からなる。国家が作り運営するヨーロッパなどのオペラハウスと違い、市民の寄付で維持されているのが大きな特徴である。1公演につき、およそ2,500人が関わる(歌手が300名、オーケストラが100名、コーラスが80名、裏方が2,000名の大所帯)。これをすべて寄付で賄うのは大変なことだが、METのブランド力の維持のために努力が続けられている。

上演回数の多い上位5作品は 1.『ラ・ボエーム』 2.『アイーダ』 3『.椿姫』 4『.カルメン』 5.『トスカ』。

現在、オペラの演出には、伝統的な演出と新演出があり、演出家の力が大きくなっている。DVDで、伝統的な演出と、新演出で成功したものを鑑賞した。

先生のオペラへの深い理解と愛情が感じられるひと時だった。

講座・イベント名 2018/10/13<報告> 10/13現代教養講座

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