講座・イベント

京焼・清水焼の魅力
講師 陶芸家 加藤泰一氏

七夕の午後、72年館に43名の参加者を迎え、陶芸家の加藤泰一氏からのお話をうかがいました。

冒頭の自己紹介のところでは、有吉佐和子「青い壺」の主人公牧田省造のモデルとなられたお父様の加藤実氏と有吉佐和子の出会いについてお話し下さり、同窓生には大変興味をそそられるところでした。加藤家は祖父の初代加藤渓山氏の頃から青磁を得意とする家系で、お父様、ご自身と陶芸家として、現在は京都・衣笠に工房をおもちです。

次のような項目に沿って、画像や実物を使いお話し下さいました。要点をまとめてみました。

(1) 標準的な制作工程 京都の場合
(2) 青磁とは
(3) 京焼・清水焼―その定義と特徴  
起源から現在へ
他産地との比較
未来への模索

(1) 京都は土があまり採れないので土を取り寄せる「都市型窯業」です。

(2) 青磁は鉄分の入った釉薬によって発色が青や緑、茶褐色になります。

(3) 京焼・清水焼(両者は同義語だそうです)は小さい工房で、手作り、少量生産されていますが、その特徴は「特徴がないこと」という幅広さで、ゆえに知名度が低いとのことでした。実際に画像で見せていただいた4つの作品はどれも京焼とのことでしたが、それぞれ違う特徴があり一見しただけでは同じ京焼とは思えませんでした。

京焼の起源は15世紀頃に東山で始まり、特に16世紀以降、茶道や寺社との結びつきを基に、発注者の希望に柔軟に応じて作品を作ることで発展してきたそうです。よって色々な種類のものができ、先に述べた「特徴がない」という特徴が生まれました。

他の産地との比較では有田焼、信楽焼、備前焼、また西洋の陶器との比較をお話しになりました。

まとめの部分の未来への模索では、「原点回帰」という言葉が印象的でした。場所・場面は変わっても技術は変わっていない、ということで、具体的にご自分の作品について画像と一緒にお話し下さいました。それは京都に最近オープンしたホテルのフロントの壁面であり、小ぶりの茶わんを逆さに使用した雨どいであり、当日お持ちいただいた釉薬がしずくのように流れるマグカップ等々です。

部屋の前に並んだ加藤氏の作品は、どれも優しい淡い色で、釉薬の下に細かい模様が透けて浮き出て、講演終了後、参加者は実際にそれらの作品を手に取りいつまでもその美しさを愛でさせていただきました。

(企画委員会)

講座・イベント名 京焼・清水焼の魅力
講師 陶芸家 加藤泰一氏

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